アビドスのセティ1世葬祭殿の魅力とは
葬祭殿の奥にある至聖所には、3300年前の美しく彩色された壁画が今でも残っており、オシリス神の墓所とされる「オシレイオン」へと続く通路の壁には、第1王朝からセティ1世までの歴代王名が刻まれた『アビドス王名表』が保存されています。オシレイオンの柱には、「フラワー・オブ・ライフ」と呼ばれる、円を重ねた幾何学模様が描かれており、これは生命のサイクルを象徴するとされています。また、葬祭殿の梁の壁面上部には、ヘリコプター、戦車、飛行機、潜水艦のような近代的な兵器を思わせるレリーフが刻まれています。学会では、これらのレリーフは壁面の劣化による偶然の産物であり、「王名の重ね書き」説が支持されていますが、それだけでは説明できない謎めいたレリーフでもあります。