ムルシ族
ムルシ族(Mursi)は、人口約1万人とされ、主に牧畜と農業を生業としており、牛は経済的・社会的な地位の象徴として重要な役割を果たしています。牛の乳を食糧として利用し、儀式や祭りの際には牛を犠牲に捧げることもあります。最大の特徴の一つは、女性が行うリッププレート(唇皿)です。若い女性が結婚年齢に達すると、下唇に穴を開け、徐々に大きな土器の皿をはめ込む習慣があります。このリッププレートは女性の美しさと社会的地位の象徴とされており、大きければ大きいほど尊敬されます。この習慣はムルシ族の文化的アイデンティティの一部として深く根付いていますが、近年は変わりつつある一面も見られます。男性は、体のスカリフィケーション(傷をつけて模様を作る行為)を通じて戦士としての名誉を示します。また、ムルシ族の男性は棍棒や槍を使った闘技「ドンガ」を行い、これは成人儀礼や結婚式などの重要な行事の一部です。この闘技は力と勇気を示すもので、コミュニティの中で高い評価を得る手段となっています。